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知財経営支援モデル地域創出事業


4月になり新しい年度が始まりました。様々な行政の動きは年度単位で進められることが一般的です。経済産業省や特許庁が推進する知財行政施策も同様です。

今年度から新たにスタートする「知財経営支援モデル地域創出事業」を紹介していきたいと思います。

経済産業省の記事にもあるように、昨年度、特許庁、独立行政法人工業所有権情報・研修館(INPIT)、日本弁理士会、日本商工会議所は、「知財経営支援ネットワーク」という連携を立ち上げました。これを「4者連携」と呼んでいます。

「中小企業等の知財経営支援を強化・充実化させ、地域の稼ぐ力の向上に取り組むことを共同宣言」したとありますが、昨年度は、4者で今後の進め方を検討したり、手始めに共同でセミナーを開催してみたりと手探りでした。

これを受けて本年度は、いよいよ本格的に知財経営支援に着手していこうということで、まず集中的に支援活動を行っていくモデル地域を全国から3つ選定しました。青森県、石川県、神戸市です。

この事業、前述の4つの組織が連携して、選定された3地域の中小企業に、課題解決に必要な人材を派遣して知財活用支援をおこなう伴走型支援が中核となります。特許権や商標権などの知的財産権の取得にとどまらず、これらを活用した商品開発や販路開拓、さらに知財活用を担う人材育成まで幅広く視野に入れて支援を進めます。

経済産業省や特許庁は、本年度、この事業に本腰を入れています。3つのモデル地域での成果をもとに、同様の取り組みを全国に広げていきたいと考えているためです。本年度のこの事業の成否は、来年度以降の中小企業への知財経営支援を大きく左右するでしょう。

活動状況は、順次、特許庁などのサイトでも公開されていくはずです。今年度、モデル地域となった地域の中小企業はもちろん、その他の地域であっても、動向を是非注目してみてください。きっと、お役に立つと思います。

 

(メルマガ「IPビジネスだより 2024年4月号」から転載)